第64話    「ウキの改造」   平成17年06月26日  

出来合いのウキばかり使っていたのでは能がない。10数年位前から、オフシーズンの暇な時に時々挑戦している。手が不器用なので中々良い物が出来ない。

初めの頃はカヤウキを作っていた。晩秋の頃仕事で、道を走っている時に太いカヤを見つけると車を止めて使い物になるかどうかを確かめたりもした。実際丸くて節間の長いウキに使えそうなものは、殆どないに等しい。風が強い当地では楕円形のものが圧倒的に多いのである。感度の良いヘラウキ型のカヤウキを作って見て気づいた事は、餌取りを交わすために比較的に重い4Bを主体に使っていたので浮力が少ない云う事であった。

それでもっと手軽に簡単に作れないかと思い考えたのが、8年位前に市販のウキを改造することである。軽くて潮の流れに負けず、ある程度の波にも負けないと云うウキを目指した。いつも使う竿は、外ガイドの竿ではなくて庄内中通しの竿(4.5~5.4m)であるから少しでも軽い方が使い勝手が良い。当地では春から初夏に掛けてはイサダ釣りを行う。4月から5月の中頃迄は餌取も少ないから小さなウキに小さなガン玉でも良いのだが、餌取が出始めると餌を早く底に落とすために重いガン玉(4B)を使うようになる。それを2.5~3ヒロ沈めるとなると途中で餌取軍団に取られてしまう確率が多くなる。

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年前から団子釣を始めた事もあり、それまでの固定ウキから誘導式に変えた。年と共に大型の魚を狙っての危険な場所での釣りは避けるようになったからでもある。平場の安全な場所でしかも歩いて5分以内の場所で釣るようになっていたらでもある。小型の黒鯛を釣り始めると数釣が楽しめる。そんな関係で竿は出来る限り軽くて軟らかい物が良い。はじめ庄内竿の感覚で改造ヘラ竿の軟らかい物を使っていたが、もっと軟らかい竿と云う訳でハエ竿を改造して使っている。小さなものでも一枚一枚の引きを楽しんで釣ることが出来るからだ。

餌のオキアミをようやく隠すことが出来る程度の団子を直ぐに溶けてしまうようにして数を多く投入する。糠に市販の撒き餌を少し多く混ぜて小さな押し麦とパン粉とアミエビを混入する。小さな船溜りの中で釣る分にはどんなウキでも良いのだが、川の本流や潮の早い場所、波がある所では少し浮力に余裕があった方が良い事に気づいた。永易ウキのまがい物を作って見たが、どうもしっくり来ない。ソロバン型も薄いものから厚いものなど色々形を変えても見た。

自立式のウキは余り使うことはない。従ってウキのブランコは其の儘に加工せずに、ゴム管にスイベルを瞬間接着剤で固定して使うことが多い。これで工程がひとつ減ることにもなるからである。ところがウキフカセのようにして外ガイドの竿で使う場合は、自立式のウキのようにある程度ウキに重みがあった方が良い。小さな団子では遠くに飛んでくれないからである。尤も竿一、二本の場合はさして問題ないのであるが?

自立の作り方
市販のヘラウキの比較的安い製品3000~400)の少し大きいもの用意する。これ以下だと直ぐに発泡部分に水が沁みこんで来てガン玉の重みに耐えられなくなる事がある。自分の場合は基本的に其の儘の状態で4B負荷に耐えられるものを使っている。

3mm4mmの銅パイプを2.53.0cmの長さにガットする。3mmの場合は其の儘で使うが、4mmの場合はウキに板鉛を撒いて浮力の調整が出来るから、ウキ自体の浮力を出来るだけ少なくしたい時に使う。次に銅パイプの下にステンレス製のスイベルを取り付ける。団子型のスイベルより、丸く横に筒状のものが接着する時に都合が良い。自分はニツトウのパワースイベル7810号を適宜使い分けている。パイプカッターで切った断面は狭くなっているので、2mm.のドリルで穴を広げ次いでスイベルを入れる方を2.5mm.のドリルでスイベルが入る分だけ広げる。片方をペンチで潰してゼリー状の接着剤か若しくはエポキシ樹脂でしっかりと止める。接着剤を止めた後、直ぐにペンチ、ニッパー等で軽く端を締め付けると完全に固定出来る。ウキの下部を削り反対側に挿入し、同じ接着剤で止める。金属の上に水性の下塗りを塗ってその上にクリアを掛けて出来上がりとする。

次に丸いシモリ玉の2号の穴をドリルで広げ上から挿入し接着する。トップには涙型(流線型)のシモリ玉に穴を広げ同じく接着する。丸いシモリ玉に手芸店で売っている発泡玉を使う場合は、水性の下塗りを塗ってから、同じく水性の蛍光塗料黄、緑などを塗る。その上に表面仕上げを塗れば完成である。

後日工房にて作り方の公開をする予定である。